N. truncat wav leaf
2020.08
N. truncat wav leaf (Mt. Redondo, Dinagat Island)
謎多きトランカタ
まだまだ若い株
若い袋、襟の発達は未熟
毛は多い?
蓋の突起が長い
軍配に若干の波
軍配より蝶のような型
毛深い芽、先端は細く長い?
葉へいも毛深い?
ミンダナオ島北東沖 ディナガット諸島
トレンド山(標高939m)
トランカタ ウェブリーフ
産地 : フィリピン ディナガット諸島 レドンド山 標高600m付近
ディナガット諸島(ダイナガット諸島)
ミンダナオ島の北東沖。先住民からも神聖な地域として守られてきた。
絶滅危惧種や危惧種の奇妙な亜種など独特な固有種が生息しており、某財団とフィリピン環境天然資源省が重要視している。
その反面、ディナガットはクロミタイト鉱床、クロマタイト鉱床、白金族鉱物などが採れる為、複数の鉱山会社が土地を所有し開発している。
また島にはビーチや湖、洞窟、マングローブなど観光地としても発展している。
トレンド山を観光するには、現地の鉱山会社の許可が必要。
トレンド山の熱帯雨林を現地の人は「盆栽の森」と言う。標高の高い所では森が1〜3m、標高500〜750mでは5〜10mの高さ。乾燥地。
トレンド山はN.erucoides(毛むくじゃらの新種)などが生息。
土壌は、超苦鉄土壌
pH4.8〜6.9、平均有機物(OM)2.25%
表土より下層土のpHが高い。
アルミニウムが多くカルシウムが少ない下層土。
下層土は微量のカルシウム、マグネシウムもしくはカリウムのみ吸着。
論文から抜粋
「 超苦鉄質露頭のほとんどの植物は、水分要求と水分損失、および干ばつ条件下で生き残るためのニッケルとマグネシウムの取り込みを最小限に抑えるために、形態学的な適応を受けます(Brady et al 2005)。そのような適応には、一般的に低身長、小さな冠状の天蓋、および他の特徴、例えば、緑の葉、ならびに硬膜および微葉の形態が含まれる。」
さて今回のトランカタは、一体なんなのか?
少し前までトランカタはミンダナオ島のみの固有種だったけど、今はディナガット諸島も入っている。
ただディナガット諸島のトランカタは変異が多く激しく未知である。
過去にミンダナオエンシスなど他のネペンテスと交雑した可能性も高い。毛むくじゃら個体や葉が激しく波打つ個体、寸胴でスクワットな袋の個体など色々のようだ。
厳しい土壌環境、気象条件で進化しているトランカタだろうね。
私の今回所有する株は、まだ未熟なので葉の波打ちや袋の型は未知数。毛は多い様に感じるが販売元の山田食虫植物農園様いわく「毛は少ない方」と回答を得た。毛が多い個体は過去に交雑の疑いが有るとのお話だった。
個人的には、毛の多さの要因は半分遺伝で、もう半分は環境要因ではないか?と考えている。
詳しくは思い出せないが、太陽光を沢山浴びる環境では毛が発達する話を何かの野菜で聞いた事がある。
厳しい環境で生き抜く為に毛を発達させ水を集めたり紫外線対策、温度調整するのだろうと思っている。
さてさて、この栽培環境も未知数なこの仔をどう管理していこうかな。
最後にネットで拾った現地のトランカタ
カッコイイ。欲しいな。
参考論文
Journal of Asia-Pacific Biodiversity
第12巻、第1号、2019年3月1日、83〜105ページ
原著
フィリピン、ダイナガット島の植物多様性と森林生息地タイプの構造